元々は中世鎌倉時代に誕生した武士たちが、自らの所領を命を懸けて守り抜く
ことで生活を成り立たせていたことに「一所懸命」という言葉の由来があります。
近世以降、命懸けでなにかを成し遂げようする意味だけが残り、発音も転じて
「一生懸命」という言葉が生まれました。
豊かな文化と有り余るモノに囲まれた現代日本では、命懸けという言葉自体が
時代にそぐわない感じもします。しかし、わずか半世紀と少し前まで、この国は
戦争の真っ只中にあり、文字通り命をかけて戦場に赴いた何万もの兵士や、戦
後の驚異的復興を果たした人々の「懸命の礎」の上に今があることは事実です。
この言葉を、「前を向いてがんばる」と解釈すれば、誰もが頷ける姿も見えてきます。
「アンパンマンは、世界一弱いスーパーマン。でも、頑張っていればなんとかなる
ものなんだ」。やなせたかしさんは、ちょっと弱いヒーローを通して子供たちに頑張る
精神を教え、「死ぬまで一生懸命やるんだよ!」と最後まで真摯な姿勢を貫きました。
一生懸命だと知恵が出る。
中途半端だと愚痴が出る。
いい加減だと言い訳が出る。
365日を命懸けの精神で張りつめて生きるのは少々疲れます。
でも、常に準備を怠らず、流れる時間の中で緩と急を操りながら自分たちのいる
ところで新しい年をスタートさせます。その先にある明るく平和な未来を信じて。